旧町名をさがす会

かつては東京都内に存在し、そして消えてしまった旧町名。 このページは、行政上は消滅したものの、街角で未だに存在を確認することができた旧町名を紹介するものです。

【南多摩郡】稲城町

f:id:so102:20200224133839j:plain

【消滅した年】1971(昭和46)年
【現在の町名】東京都稲城市
【感想・雑記】稲城町の何町だって話ですよ。本来このあとに何らかの町名やら大字やら小字がついてしかるべきところですが、これは何故か稲城町止まりだったのです。

それはさておき南多摩郡が残っていましたよ!

南多摩郡の歴史は1878年から始まります。当初は神奈川県南多摩郡だったところ1893年東京府の管轄となり、その後1971年にこの稲城市と隣の多摩市の成立と同時に消滅したようです。つまりこの南多摩郡稲城町は、最後の南多摩郡ということになります。

南多摩郡稲城町は1957年に誕生して1971年の稲城市成立までの14年間のみ存在していたそうですので、地味な貴重さです。ますます何町だったんだろうこれ。。

これで現存が確認できている郡は以下のとおり。

北多摩郡

豊多摩郡

南足立郡

荏原郡

北豊島郡は正式な記載有りのものは未発見

[発見日:令和2年2月24日]

【江東区】深川平井町

f:id:so102:20200627140822j:plain

【消滅した年】1967(昭和42)年
【現在の町名】江東区東陽
【感想・雑記】江東区の旧町名といえば「深川◯◯町」という深川の冠がついた深川シリーズがあまりに有名です。旧深川區の町名は戦後江東区が成立した際に深川の冠をつける形に変わったのですが、住居表示の実施によって深川の冠がなくなってしまいました。旧深川シリーズの旧町名は、この「深川」そして「町」という頭とお尻が削がれた状態で現在の町名となっているのが大半です。旧深川富岡町の現富岡、旧深川牡丹町の現牡丹など。

そのような中でいくつかの町名は頭の深川とお尻の町どころか、真ん中の胴体すら刈り取られ、跡形もなく消滅してしまった町名があるのです。代表的なものとしては洲崎パラダイスでおなじみの深川洲崎弁天町が挙げられます。

住居表示の実施当時の深川シリーズの旧町名は40あり、うち8つが完全消滅の旧町名なのです。今回の深川平井町もまさにそのうちの1つでして、江東区平井などという町名は存在しません。現町名は東陽ですが、「東陽町」という地下鉄の駅名としてメジャーな名前ということもありあえて昔のままの、ましてやもう跡形もなく消滅している町名の形で残しているわけがないと思っていました。旧町名さがしを始めた10数年前に訪れた際や、まさに先ほど挙げた深川洲崎弁天町を発見した同じ日にこのあたりも探していたはずでもちろん発見できていませんでしたので、まさかその10年後に見つけられるとは思いませんでした。

町名の由来は、この地を開墾した人物が「平井満右衛門」から

[発見日:令和2年6月21日]

【北多摩郡久留米町】神宝町

f:id:so102:20200427233840j:plain

【消滅した年】1970(昭和45)年
【現在の町名】東久留米市神宝町
【感想・雑記】東京23区の旧町名をあらかたさがし尽くしてしまい、ついに進退を掛けざるを得ない状況にありましたが、何とか23区下・多摩エリアという延命措置に成功しました。多摩エリアの町名が旧町名なのか現町名なのか正直調査不足ですし情報を持ち合わせていない分けですが、郡やら町やら村という旧自治体名が残っている確率が高いように思えるので、それをさがすことで自ずと旧町名に導かれるのではないでしょうか。

しかし、多摩エリアは東京時層地図の範囲外なので効率度外視で望まなくてはなりませんので、これまでの旧町名さがしとは勝手が違います。ああ恐ろしい多摩エリア。生きて帰ってこれるのかしら。この日もそのような心持ちで多摩エリアに足を踏み入れようとしていたのですが、twitter上で「今昔まっぷ」なる素晴らしいツールの存在を教えていただいたので、とても晴れやかな心境で旧町名さがしに臨んだことが今でも思い出されます。

今昔マップのおかげでこの日も久留米町時代の旧町名を数点発見することができて多摩エリアちょろいじゃんとでも油断したのでしょう。待っていたのはそう前輪のパンクです。これが多摩エリアなのです。油断した東京23区の人間は必ず多摩の洗礼を受けるのです。これからは片手間ではなく23区と同様に多摩エリアの旧町名にも真摯に向き合おう、そう誓ったり誓わなかったりしたそんな旧町名です。

久留米町の由来はこのエリアを流れる黒目川とも言われています。そして市制時に久留米市にならなかったのかというと福岡県久留米市がすでに存在していたからだそうで、先に存在していた東久留米駅から取って東久留米市になったそうです。

今回の神宝町(しんほうちょう)は、昭和42年に大字神山から住居表示の実施によって誕生した町名ですが、その3年後に東久留米市が成立しているのでわずか3年間しか存在しなかった何気にレアな町名っぽいです。

[発見日:令和元年6月9日]

【墨田区】太平町

f:id:so102:20200426220033j:plain

【消滅した年】1967(昭和42)年
【現在の町名】太平
【感想・雑記】墨田区内の旧町名はあらかた見つけていた気になっていました。この太平町を除いて。錦糸町駅北方面エリアの旧錦糸町(現:錦糸)の上にあった旧町名ですが、現町名が太平という「町」のみ消えたものなのでこんなもの目を瞑ってても見つかるわと油断し続けて9年間見つけられていませんでした。あのころの私はとても浅はかで、「太平町会」という琺瑯製の何かを見つけたときに、ああこれで良いやという妥協をしてしまいました。もしかしたらこの妥協のペナルティーが9年間だったのかもしれませんね。無事更生し、30代を超えた私はようやく太平町に許された結果が今回の発見につながったのでしょう。

町内には江戸城を築城した太田道灌が1458年に建立したという報恩寺があります。山号は平川山。太田道灌の「太」と平川山の「平」が太平町の由来と言われているとかいないとか。

[発見日:令和元年10月22日]

【練馬区】南大泉町

f:id:so102:20181027121133j:plain

【消滅した年】1986(昭和61)年
【現在の町名】南大泉
【感想・雑記】発見した当時の記録を辿ると、「誇張じゃなく開始5秒で見つかった」とのことでした。東西北大泉町は東京時層地図でギリギリ表示されているため、どの駅で降りてどの道を辿って現地に行くかは何となくシミュレーションできたので発見は容易でした。一方で、この南大泉町だけは東京時層地図の範囲外ですのでまずどうやって現地に行くかが問題となっていました。そんな背景もあり敬遠していたのと、この当時は東京23区外にも目を向けていたのでスルーをしていたのですが、この日は西東京市の旧保谷市の旧町名をしらみ潰してやろうと息巻いて保谷駅に降り立ったわけです。保谷駅南口って実はほぼ練馬区だったんですね。ちょうど南口の西友の前の道路が練馬区との区境・市境だったんですね。保谷市の旧町名を探そうとスタートした時に知らない間に練馬区に侵入して、知らぬ間に南大泉町を発見していたのです。以上が、誇張無しの開始5秒で発見した真相です。

[発見日:平成30年10月27日]

【ネタバレ注意】旧町名をさがす会 入会試験の解答はこちら

この度は、「旧町名をさがす会 入会のご案内」をご購入いただき誠にありがとうございます。

また、この度は入会試験お疲れ様でした。

本誌P30「第5章 旧町名をさがす会 入会試験」の解答は以下のとおりです。

本誌を購入しないと何のことやらさっぱりだな。

 

【第1問】

①成宗、東田町

小山町、茂呂町、根ノ上町

市谷本村町、四谷塩町

④大番町、右京町

箪笥町、北伊賀町、新堀江町

⑥深川千田町、深川石島町

 

【第2問】

①ランクA

②ランクS(池上シリーズのため)

③ランクB(現町名っぽいが旧町名。現町名は東池袋。)

④ランクC(旧町名っぽいが現町名。)

⑤ランクC(現町名。旧町名は西小松川

⑥ランクSS(23区前の旧町名のため)

 

【第3問】

③(②は綱吉由来成分です)

 

【第4問】

①(人によっては③ないし⑤を選びたくなる日もあるかもしれません)

 

【第5問】

葛飾区本田原町

②文京区大塚上町

台東区谷中上三崎南町

千代田区神田多町

⑤中野区多田町

 

【第6問】

あなたが答えたその旧町名が正解です。

 

 

みなさんは何点獲得できましたでしょうか。

 

旧町名さがしとは入会するものではなく心のあり方です。

したがって合格点はありませんので、みなさん合格です。

おめでとうございます!

【台東区】浅草清川町

f:id:so102:20170429111035j:plain

【消滅した年】1966(昭和41)年
【現在の町名】清川
【感想・雑記】現在の台東区清川の一部ですが、今回の浅草清川町のほか、浅草石浜町、浅草山谷町も同じく現:清川の旧町名です。

さらに浅草清川町となるまでには以下の地味な変遷を辿っていました。

「浅草區浅草玉姫町」→「浅草區玉姫町」→「浅草區清川町」→「台東区浅草清川町」

ようは、清川の前は「玉姫」という町名だったということなのです。

 

この「玉姫」とは玉姫稲荷神社という日本唯一と言われている靴の神社からきていますが、こちらでは毎年二回、4月下旬と11月下旬に靴をはじめとした革製品の格安市が開催され、多くの人で賑わいを見せています。まさに4月の靴市のついでに発見していたとしか思えない年月日でした。


[発見日:平成29年4月29日]