旧町名をさがす会

かつては東京都内に存在し、そして消えてしまった旧町名。 このページは、行政上は消滅したものの、街角で未だに存在を確認することができた旧町名を紹介するものです。

【江東区】深川牡丹町


【消滅した年】1969(昭和44)年
【現在の町名】牡丹
【町名の由来】牡丹を栽培する家が多かったから
【雑記・感想】町の由来は上記の通りですが、なぜ牡丹を栽培する家が多かったのか。江戸時代、この辺りは阿波徳島藩主の屋敷があり、江戸名園のひとつのと呼ばれていた美しい庭園があったそうでその流れが受け継がれていたのかもしれません。深川牡丹町が成立したのが、1869(明治2)年。偶然にもちょうどその100年後に消滅していたんですね。
そしてこの1869(明治2)年、ちょっと離れたところでもう一つ牡丹に由来する町名が地味に誕生していたそうです。その場所は牛込、現在の神楽坂1丁目です。これもまた江戸時代ですが、8代将軍吉宗に牡丹を献上していた岡本彦右衛門の屋敷跡がこの地にあったそうな。岡本さんは牡丹とともに熱湯散という家伝の薬を作っていましたが何らかの経緯で咎めを受け家材没収、牡丹屋敷のあったその地は大奥女中3名が拝領し分割されるなどの運命をたどりますが、明治2年に牡丹の品種名を取り「牛込玉咲町」が誕生、岡本さんがようやく報われたのでした。
そして牛込玉咲町は、その後明治4年に牛込神楽町になりました。2年かよ!

方や100年、方や2年。何をした岡本。

[発見日:平成23年4月10日]
[町名由来出典元:江戸東京残したい地名/本間信治著]