【消滅した年】1972(昭和47)年
【現在の町名】埼玉県八潮市垳
【町名の由来】水がカケ(捌け)ることに因み、水が流れるとき「土」が流されて「行」く=垳。ちなみに対岸の葛飾区水元猿町は、水が去る=サル=モンキー。
【雑記・感想】地図研究家の今尾恵介さんの新刊『地名の楽しみ方(ちくまプリマー新書)』によると、この『垳』という文字が唯一存在しているのがこの埼玉県八潮市だそうです。とても珍しい地名として様々なメディアでも取り上げられていますが、今回ついに訪問することが叶いました。
『垳』自体は旧町名ですらなく、厳密にいうと今回旧町名として紹介しているものも自治体名が変わっただけなので取り上げるのはどうよという意見もあるでしょう。けれどもこの『垳』という地名の地域資源としての価値と地域の方の思いを鑑みると紹介すべきものと判断し無理くり紹介いたしました。
今尾さんの同著書によると、この『垳』という漢字自体も実はこの地名のために作られた国字(日本製漢字)だそうで、まさに今尾さんが描かれる「地名は無形文化財である」を表す事例ではないでしょうか。そんな『垳』を始め、八潮市には400年以上の歴史を有する地名(大字名)が今も存在していたり消滅していたりするそうです。それらの歴史ある地名を地域固有の宝と捉え、保存活動を行っている団体『八潮の地名から学ぶ会(「垳」を守る会)』が、『地名を考えるシンポジウム』というイベントを開催するという情報をTwitter上でご提供いただきました。
開催は5月22日、今日!講師は、今尾恵介さん。
八潮以外にも全国様々な地名の由来や地名にまつわるエピソード等、上記の著書のお話を生で聞ける大変贅沢な2時間でした。大変面白すぎて取り乱してしまいましたので一旦持ち帰って寝かしつけて内容を整理した暁には後日レポ的なものを掲載できればと思います。後日が明日なのか来年なのかそれはまた後日。
[発見日:平成28年5月22日]
[町名由来出典元:八潮の地名ー地名は無形文化財ー/八潮の地名から学ぶ会 制作パンフレット]