旧町名をさがす会

かつては東京都内に存在し、そして消えてしまった旧町名。 このページは、行政上は消滅したものの、街角で未だに存在を確認することができた旧町名を紹介するものです。

【足立区】加賀皿沼町


【消滅した年】1997(平成9)年
【現在の町名】加賀、皿沼、鹿浜、入谷、舎人公園
【感想・雑記】ずいぶん最近まで存在していた旧町名と思いきや、最後の平成9年は舎人公園の一部に残っていた飛び地の名残部分です。大部分は昭和45年の住居表示実施で消滅しています。

旧町名でよくありがちなのが、冒頭にその地域の冠となる名称+◯◯町という形式です。本田◯◯町とか、駒込◯◯町とか。この加賀皿沼町も、てっきり加賀◯◯町のひとつかのように見えてしまいますがそうではなく、加賀+皿沼という二つの地名の合成で誕生した町名なのです。

新編武蔵風土記によると、昔は鹿浜村の小字であった「加々」と「皿沼」がのちに「加々皿沼」として一つになり、その後江戸時代の元禄の頃になぜか再び二つに分かれたのだそう。明治に入り、南足立郡加々皿沼村から江北村大字加々皿沼を経て、足立區成立のタイミングで「加賀皿沼町」の形になったそうです。付いては離れ、離れては付き、そして今では別れてしまった加賀と皿沼。運命が二つを引き裂くまさに足立区版ロミオとジュリエットではないでしょうか。違いますね。

加賀の由来は加賀藩の人がこの地に移り住んだからという説もあるようです。皿沼の由来は、皿が開墾地という意味らしいのでその沼というわけですね。

全然関係ないんですが、東京に来て初めて皿沼という地名を見たときに「血沼」と勘違いして恐怖に震え上がった記憶があります。

[発見日:平成29年7月30日]