旧町名をさがす会

かつては東京都内に存在し、そして消えてしまった旧町名。 このページは、行政上は消滅したものの、街角で未だに存在を確認することができた旧町名を紹介するものです。

【杉並区】下井草町


【消滅した年】1963(昭和38)年
【現在の町名】下井草
【雑記・感想】みなさん気になって今日まで生きてきたと思いますが、私もそうです。「井草」って何でしょうか。何の植物でしょうか。下記文献によると、細流のある低湿地帯の地形語であったり、北条早雲に敗れた三浦一族がこの地に逃れて定住したものの、三浦の姓を隠して「井口」と名乗っていた「草分け長左衛門」で「井+草=井草」だったり様々あるそうです。

そして井草は3パターン存在しています。上井草、井草そして下井草。かつての旧町名は上井草町、井草町、下井草町と、単に町がなくなっただけに思えるでしょう。
ここからは大変どうでもいい細かい話ですが、上井草と下井草の旧町名の一部にはそれぞれ上井草町と下井草町が入っていました。しかしながら、井草のみ旧町名に井草町が入っていないのです。井草の旧町名は「正保町、八成町、住吉町、矢頭町、上井草町」。なんと井草の旧町名は上井草町だったのです。そして井草町は下井草の旧町名だったのです。

などと、上とか下とか上とか下とか書いていると井草がゲシュタルト崩壊して、自分の人間としての立ち位置すらわからなくなってしまいます。だからもういいじゃないですか。この際井草が上でも下でも。天は井草の上に井草を造らず、井草の下に井草を造らずじゃないですか。井草に上も下も無いんですよ。どっちも可愛い井草です。もう一緒になろうではありませんか。そう、江戸時代に今川氏がこの地を治める前がひとつの井草村だったあの頃のように。

そして見つけたデンリョクが更に植物っぽい。藻井草って。

[発見日:平成23年6月19日]
[町名由来出典元:江戸東京残したい地名/本間信治著]