旧町名をさがす会

かつては東京都内に存在し、そして消えてしまった旧町名。 このページは、行政上は消滅したものの、街角で未だに存在を確認することができた旧町名を紹介するものです。

【大田区】森ケ崎町


【消滅した年】1964(昭和39)年
【現在の町名】大森南
【感想・雑記】この地は、明治10年干拓により開拓された場所で、「大森の崎」という地形からくる呼び方を縮めたのがが森ケ崎の由来といいます。水田から始まり、明治32年鉱泉が湧きだしたことで都内有数の保養地として知られていきます。関東大震災後は歓楽街として栄えていきますが、昭和に入り飛行機の墜落事故、そして戦争により急速に廃れてしまいます。奇跡的にこの地は空襲を免れたようですが、戦後も賑わいが戻ることはなく昭和39年に森ケ崎の地名は消滅してしまいました。

『東京35區戦災焼失區域表示區分地図帖』というものがあります。東京35区ごとの地図が見開きで掲載されていて、戦災を受けた地域はピンク色、建物疎開の地域は緑色に分けて書かれている非常に興味深くそして生々しく戦争の悲惨さが伝わる資料です。大変不謹慎を承知ですが旧町名さがしをするうえで欠かせないツールです。
今回の森ケ崎町をはじめ、旧糀谷町、北糀谷町の区域は何も色がついておらず空襲の被害が無かったことが分かります。当時は、旧糀谷町は蒲田區、森ケ崎町は大森區と分かれていたため、もしかしたら当時の表札を掲げている御宅が現存しているのではという淡い期待を胸に現地を調査してきました。

結果、今回の森ケ崎町こそ残っていましたが、大森區、蒲田區ともに跡形もなく消え去っていました。特に、蒲田區は現時点で一度も発見することはできておらず、戦災区域地図を見ても糀谷町以外はほぼ全てがピンク色(戦災地域)であることから、ほぼ絶望的ではないでしょうか。


[発見日:平成28年1月16日]